
着物の特徴ともいえる「衣紋」ですが、皆さんはこの衣紋の開け具合をどのように習われましたか?
わたしは、「礼装は拳をタテに一つ」「普段着は拳を横に一つ」と習いました。
もちろんこれは基本中の基本。
実際には「状況に合わせて」ということが発生しますね。
合わせる状況3つ
状況① 髪型
お客様の髪型はどのようなスタイルか調整します。
アップスタイルでも全体が上に上がって襟足が大きく見えているのか。
それとも最近流行りのシニョン系で下めに大きく膨らんでいるのか。
このシニョン系の場合は、衣紋の中心だけでなく左右も開き気味に決めないと、お客様が首を動かしたり少し上を向いただけでセットが衿にあたり崩れてしまいます。
そう、お支度は着付けだけじゃありません。
ヘアセットのことも頭に入れて着付けなくてはいけませんよね。
また、首に傷跡などがありそれを隠したいとの注文を受けた場合などは、できる限り常識はずれでない程度にご希望に応えます。
このためには、お客様とのコミュニケーションを忘れないようにしましょう。
状況② 体型・姿勢
ざっくり言うと、痩せている人はあまり大きく衣紋をあけてしまうと、首の骨っぽさが目立ちます。
さらに首が前にたおれて猫背の場合も、首のうしろの骨が目立ってしまいますね。
逆に首回りにお肉がたっぷりついている場合、普通の状態で設定するよりちょっと広めにあけていきましょう。
この時、ただ真後ろに衣紋を抜くのではなく、真後ろと左右を開くようにすると後ろ姿がスッキリしますね。
状況③ 首との関係
体型とも通じる時ですが、
首の長さが短い場合や首が前に出ている場合、衿を寝かせるために衣紋は抜き気味にします。
逆に、首が細く長い場合バランスよくするために衿を立てて着せます。その時は衣紋は控えめにします。
衣紋の抜き具合で着付け影響すること
背紋がある着物
衣紋をぬき過ぎると、お太鼓のヤマが背紋に被ってしまいます。
これは絶対にNGです。
その場合は帯を下げて巻くしかなくなります。
が、こうすると身長や年齢とのバランスが崩れてしまい、無理な着上がりになってしまうんです。
でも、骨格に悩みがあるとき、例えば背中が曲がっていたり、骨盤が歪んでいたりすると、帯の位置も調整が効きません。
帯を巻く位置は都合ができないので、帯枕の角度くらいしか調節の手がなくなってしまいます。
なので、衣紋の分量は最初に考えてきちんと設定しましょう。
振袖の場合
振袖なのに大きく衣紋が開きすぎていて
「品がなかった」
「若々しさがなかった」
などという感想を耳にすることがたまにあります。
胸元、おはしょり、帯結びと、ほかはとても綺麗にできてるのに、衣紋が美しくないことで全てが台無しに。
非常に残念です。
まとめ
人の体はそれぞれで年齢とともに大きく変化していきます。
水分が多くお肉がついている人もいれば、
筋肉があって引き締まっている人もいますし、
痩せて筋が目立つ人もいます。
衣紋は胸元に大きく影響してきますから、それも踏まえて決めましょうね。
衣紋という最初の行程がそのあとに大きく影響をしてきます。
だから、基本のルールを踏まえて、さらに個々のスタイルに合わせて
プロの見極めをしていきましょう。